望ましい選択を自発的に行えるように「そっと後押しする」ナッジと、健康や医療に関する情報を収集し、活用する能力であるヘルスリテラシー。ヘルスリテラシーの向上は重要だが、実際にはリテラシーが不十分な人や、健康行動に移せていない人もいる。そこでナッジの出番だが、やはりナッジだけでも望ましい行動は定着しきらないことが分かってきている。そこで、両方の融合によって健康づくりがさらに推進されるのではないか、と。
「リテラシーを身につけることが大切」というのはまったくその通りではあるものの、リテラシーのある側がない側に対してあまりにも簡単に言い過ぎていないか、と感じることもある(一応医療情報を扱うする側なので自戒も込める)。その点、ちょっとした伝え方やデザインなどによって行動変容を促せるナッジは、高いリテラシーを求めずとも行動につなげやすいわけだが、なんだろう、強制せずともさりげなく健康に寄与できるとはいえ、どこまで「人を動かす」ということを気軽にやっていいのだろうか、と考えさせられもする(倫理的な問題についても触れられている)。